睡眠時無呼吸症候群 |はな・みみ・のど りょうクリニック|福島県福島市にある耳鼻咽喉科|日帰り手術

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睡眠時無呼吸症候群

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ご注意: 当ホームページに記載されている原因、症状、検査、鑑別疾患および治療法などについてはあくまでも一般的な内容になります。これらはすべての患者様に当てはまるわけではなく、個々の症状や状況により異なる場合があります。正確な診断と最適な治療を行うためには、必ず受診時にご相談ください。

目覚めたての女性

睡眠時無呼吸症候群(睡眠時無呼吸症候群)の病態と社会への影響、遠隔診療

概要

睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome: SAS)は、睡眠中に呼吸が繰り返し停止する状態です。呼吸停止は10秒以上続き、これが1時間に何度も起こることで、睡眠の質が大きく損なわれます。睡眠時無呼吸症候群には主に閉塞性(Obstructive Sleep Apnea: OSA)と中枢性(Central Sleep Apnea: CSA)の2種類があります。

病態

閉塞性睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に上気道が部分的または完全に閉塞することによって発生します。これは、舌や軟口蓋が後方に落ち込むためです。結果として、呼吸が一時的に停止し、血中酸素レベルが低下します。この状態が繰り返されると、身体に大きなストレスがかかり、日中の眠気や集中力の低下など、様々な健康問題を引き起こします。

閉塞性睡眠時無呼吸症候群の主な原因には以下の要素があります。

  • 肥満:脂肪の蓄積により気道が狭くなる
  • 加齢:筋肉の緊張が低下し、気道が狭くなりやすい
  • 性別:男性に多く見られる
  • 解剖学的要因:鼻や喉の構造が狭い

一方、中枢性睡眠時無呼吸症候群は脳が適切に呼吸筋に信号を送らないために発生します。これは心臓病や脳の障害に関連しており、睡眠中に呼吸のリズムが乱れることで起こります。

鼻閉との関係

閉塞性睡眠時無呼吸症候群の患者には、鼻閉(鼻づまり)が頻繁に見られます。鼻閉は気道の抵抗を増加させ、睡眠中の呼吸を困難にします。これにより、睡眠中に口呼吸を強制されることが多くなり、閉塞性睡眠時無呼吸症候群の症状を悪化させる原因となります。鼻閉を改善することで、閉塞性睡眠時無呼吸症候群の症状緩和が期待できるため、耳鼻咽喉科での適切な診断と治療が重要です。

主な症状

  • 夜間の激しいいびき:気道が狭くなることで発生する音です。
  • 睡眠中の呼吸停止:家族やベッドパートナーが気づくことが多いです。
  • 日中の過度の眠気:夜間の睡眠不足により、日中に強い眠気を感じます。
  • 起床時の頭痛:酸素不足によるものです。
  • 集中力の低下:十分な睡眠が取れないため、注意力が散漫になります。
  • 口渇や喉の痛み:睡眠中に口呼吸をするためです。

社会への影響

睡眠時無呼吸症候群は、個人の健康だけでなく、社会全体にも重大な影響を及ぼします。

  • 事故リスクの増加:日中の過度の眠気により、交通事故や労働災害のリスクが高まります。特に長距離運転手や重機の操作を行う労働者など、集中力が求められる職業では深刻な問題です。実際、睡眠時無呼吸症候群が原因とされる交通事故は少なくありません。
  • 医療費の増大:睡眠時無呼吸症候群は高血圧、心疾患、糖尿病などの合併症を引き起こしやすく、それに伴う医療費が増加します。これらの病気は長期にわたる治療が必要なため、社会的な医療コストも膨大になります。
  • 生産性の低下:集中力の欠如や疲労感により、職場での生産性が低下します。これは企業の経済活動にも悪影響を及ぼし、ひいては経済全体にもマイナスの影響を与えます。
  • 精神的健康の影響:慢性的な睡眠不足は、うつ病や不安障害のリスクを高めます。これにより、さらに生産性が低下し、医療費も増加します。

検査方法

鼻腔通気度検査

鼻の通り具合を数値化することができ、鼻の通りやすさを客観的に評価することができます。当院でも対応可能です。

簡易的な睡眠時無呼吸症候群

(SAS)検査

簡易睡眠時無呼吸症候群(SAS)検査は、睡眠中に発生する無呼吸や低呼吸のエピソードを検出するために用いられる検査方法です。これは、標準的な睡眠ポリグラフィ(PSG)と比較して、簡易的かつ患者にとって手軽な方法であり、主に自宅で行うことができます。当院でも対応可能です。

睡眠ポリグラフ検査(PSG)

最も詳細な睡眠時無呼吸症候群の検査方法で、睡眠中の脳波、眼球運動、筋活動、心電図、呼吸の流れ、血中酸素飽和度を測定します。この検査により、閉塞性睡眠時無呼吸症候群や中枢性睡眠時無呼吸症候群の程度やタイプを正確に診断することができます。当院でも対応可能です。

鑑別疾患

閉塞性睡眠時無呼吸症候群や中枢性睡眠時無呼吸症候群の診断には、以下の疾患との鑑別が重要です。

  • 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
  • 心不全
  • 肥満低換気症候群
  • 喘息

治療法

  1. CPAP(持続的陽圧呼吸療法):鼻マスクを通じて持続的に気道に空気を送り込み、気道の閉塞を防ぎます。これにより、睡眠中の呼吸が正常に保たれ、酸素不足が解消されます。
  2. 口腔内装置(OA):下顎を前方に引き出す装置で、気道を広げます。これにより呼吸が改善され、いびきや無呼吸の発生が減少します。
  3. 手術:

    ・口蓋垂軟口蓋咽頭形成術(UPPP)や上下顎骨前方移動術(MMA)などの手術によって気道を広げる方法があります。特に重度の閉塞性睡眠時無呼吸症候群患者に対して行われます。

    ・鼻閉改善手術:

    ・鼻中隔矯正術:鼻中隔の歪みを修正する手術で、これにより鼻の通気性が改善され、呼吸が楽になります。
    ・下鼻甲介手術:鼻の内部にある下鼻甲介という骨の構造を縮小する手術で、気道が広がり、呼吸がしやすくなります。

  4. 生活習慣の改善:体重管理、禁酒、禁煙、規則正しい生活などが推奨されます。これにより、症状の緩和が期待できます。

遠隔診療の役割

遠隔診療は、睡眠時無呼吸症候群の診療において非常に有効です。特に、以下のような点で役立ちます。

  • アクセスの改善:地理的に離れた地域に住む患者や、多忙な労働者が専門的な医療にアクセスしやすくなります。これにより、適切な診断と治療が早期に行えるようになります。
  • 継続的なモニタリング:CPAPの使用状況や効果を遠隔でモニタリングすることができ、必要に応じて迅速に介入できます。これにより治療の効果を最大化し、アドヒアランス(治療の遵守率)を向上させることが可能です。
  • 患者教育とサポート:オンラインでの診察やカウンセリングを通じて、患者が自分の状態をよりよく理解し、セルフマネジメントを行いやすくなります。

遠隔診療の実例

  • オンライン診療:患者がスマートフォンやコンピュータを通じて医師とビデオ通話を行い、診察を受けることができます。これにより、通院の手間を省くことができます。
  • 遠隔モニタリング:CPAP機器やその他の睡眠モニタリングデバイスがインターネットに接続され、使用データがクラウド上で共有されます。医師はこれを見て、必要な指導や治療調整を行います。

まとめ

睡眠時無呼吸症候群は、個人の健康に重大な影響を及ぼし、社会全体にも多大なコストをかける病気です。適切な診断と治療、そして遠隔診療の導入により、多くの患者が効果的に管理できるようになります。鼻閉などの関連症状も含め、総合的なアプローチが求められます。健康的な生活習慣を維持し、早期に医療機関を受診することが、睡眠時無呼吸症候群の予防と治療に重要です。